【アンケート結果報告】新型コロナウイルスの感染症対策に伴う臨時休業期間における 生活状況アンケート調査結果について

 臨時休業期間中の子どもたちの心の状態について、生活について、学習について、人間関係についての調査結果をまとめました。保護者の方、地域の方、教職員の方、子どもたちの今後の生活面や学習面の支援の参考に活用ください。アンケートのご協力ありがとうございました。

臨時休業中の児童・生徒の生活状況調査アンケートについて

1 調査の目的

 新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、休校措置が延長される中で、子どもたちの心と体、生活や学習の状況が懸念される。休校中の生活実態について把握することを通じて、児童・生徒の実態に則した支援の在り方や、学校再開後の支援の在り方について研究する取組の推進を図る。

2 調査対象 市内小・中・養護学校の児童生徒

3 調査期間 令和2年5月12日(火)~5月17日(日)

4 調査方法 WEBアンケートフォームによる調査

5 回答数 割合(回答数/総数)

  小学校…58%(1156/1976)

  中学校…68%( 658/953)

6 調査の結果

(1)心の状態について

①「ちょっとしたことでイライラすることがありますか。」に対して、「よくある」「ときどきある」への回答割合は約50%。

②「不安になることがありますか。」に対する「よくある」「ときどきある」への回答割合は約25%。中学3年生が若干高い。

③「今の気持ちの状態」について、「よい」「とてもよい」への回答割合は約70%。「とてもよい」への回答割合が小学生は約50%、中学生は40%を切り、学年が上がるにつれて徐々に下がる傾向がある。

(2)生活について

①22時までに寝る割合は、小学生が約80%、中学生が約20%。

②7時までに起きる割合は、小学1~4年が約60%、小学5,6年が約40%。

③小学生の多くは、7時までに起き、23時までに寝ている。

④就寝時刻が23時より遅い児童生徒は、小学5,6年で約10%、中学生で約50%。

⑤学年が上がるにつれて、起床時刻も就寝時刻も遅くなる傾向がある。

⑥小学生の約0.3%、中学生の約2%に昼夜逆転傾向がみられる。

⑦運動不足を感じている中学生が約70%いる。

⑧「1日3食(朝、昼、夜)、食べていますか」に対して、「食べている」の回答割合は、小学生が約90%、中学生が約75%。

(3)学習について

①「自分で計画を立てて学習していますか」に対して「している」への回答割合は、小学生が約50%、中学生が約70%。

②計画的な学習への取り組みの割合は、学年が上がるごとに上昇している。

③ほとんどの児童生徒が、学校からの課題に取り組んでいる。

(4)人間関係について

①「困ったことがあったときに、相談できる人はいますか」に対して、「いる」への回答割合は、90%以上。

7 考察

アンケート結果から、多くの子どもが各自、各家庭で工夫して生活リズムを維持し、計画的に学習に取り組んでいることが分かった。90%以上の子どもが「相談できる人がいる」と答えており、保護者を中心に周りの人とのつながりを保ち、支えられながら日々を過ごしていることがうかがえる。

半面、約半数がイライラしやすくなっている。先を見通しにくい日々を重ねるなかで、少しずつ不安を募らせている子どもが少なからずいると思われる。また、小学生では外遊び、中学生では部活動など体を動かす機会が制限され、心身ともにエネルギーを発散できずにいる。全体的な体力低下も懸念される。

これらを踏まえ、学校再開に向けて、本調査の結果及び考察を以下のように活用する。

  • 保護者に向けて

保護者の支えをもとに、多くの子どもが生活リズムを維持していることや、計画的に学習に取り組んでいる。学校再開に向けて、規則正しい生活習慣形成に向けた協力を呼びかける。子どもたちの気持ちを共有し、身近な大人が言葉がけすることで、子どもとのつながりをより大切にすることが重要である。

休業中、生活のリズムが崩れている場合は、家族(大人)といっしょに生活習慣を見直す必要がある。例えば、朝起きたら、日光を浴びるか、日光を10分~20分見て過ごすようにし、眠れていた時と何が違うかについて考えることで、再開に向けて生活リズムを整えられる。

  • 教職員に向けて

体力低下や生活リズムの変調によって学校生活への適応に時間がかかる子どもがいると予想される。個別の状況を丁寧に観察し、健康観察や生活指導など、家庭と連携して規則正しい生活習慣形成に向けた取り組みが必要である。

学校生活においてもこれまでと同様に行動が制限され、苛立ちを表出する子どもがいると予想される。子どもの苛立ちや不安感に教職員が感情的に対応すると、児童生徒の精神面にも人間関係にも悪影響を与える。児童生徒の苛立ちや不安感に対し、まずは傾聴の姿勢を示し、冷静に穏やかに対応することが大切である。

運動不足の解消に向けては、感染リスク低減のポイントを踏まえ、体育科や部活動など年間指導計画の工夫や活動メニューの工夫をした中で、可能な限り適度な運動をしながら生活リズムを整えられるよう進める。

学習方法は、子どもたちの93%が学校からの課題をもとに学習していた。主体的な学習習慣の向上については、導入しているプリント配信システムやタブレッドドリルの活用を今後も進める。また、休業期間中を利用し、遠隔教育利活用研修やホームページ研修会実施し、教職員のICT活用技術が向上し、動画を配信するなどの学校が増加してきた。今後、情報化プロジェクトチームを立ち上げ、ICTを活用した学びを止めない学校園への支援を進める。

  • 児童生徒に向けて

臨時休業中において、多くの子どもが計画的に家庭学習に取り組んでいる。そして、今後も主体的な学習習慣の形成に向けて、自分で学習課題を決めて家庭学習する日を設定するなどの取り組みを呼びかける。

学校再開後、子どもたちが今までとは違う環境の中で、学校生活をスタートすることになる。精神状態も含めたきめ細かな健康観察や聞き取りアンケートなどを活用して子どもたちの心身の状況把握に努める必要がある。気になる子どもに対しては、スクールカウンセラーやスクール・ソーシャルワーカーと協力し、電話、ICT、手紙、家庭訪問等を可能な手段を通して教育相談やカウンセリングを行う。 

ハイリスク群(不登校傾向のあった子供、休校前より課題を有していた子ども、家族関係や経済的問題などを有している子ども等)や外国籍の児童生徒については、担任や管理職と丁寧な情報共有に努め、切れ目ない支援が行われるような体制をつくる。また。オンラインによるカウンセリング、ケース会議等も実施するなど柔軟性をもって具体的な支援を実行していく。

教育研究所は再開後1カ月を目途に子どもたちの子どもの内面や問う調査を行う。本調査(iチェック)では「自己認識」「社会性」「学級環境」「生活・学習習慣」の4つカテゴリーで構成されている。3か月間、家庭で生活してきた子どもたちが学校において、「人間関係」や「自己肯定感」、「ソーシャルスキル」などが確立しているか、備わっているかを確認する。再開後の子ども一人ひとりの状況や学習集団の状態を客観的なデータで把握し、子どもたちが、よりよい学校生活が送れるよう研究し、研修などを実施し教職員を支援する。 教育研究所では、今回のアンケート結果をもとに、5月25日~29日かけて、教職員に対して、休校中の子どもたちの気持ちの理解をもとにした学校再開の支援の在り方や心構えなどについて、スクール・ソーシャルワーカーによる研修を動画配信の仕組を使った研修を行う。また、教育研究所ホームページにおいても、生活面や学習面を支援できるよう情報提供をしていく。