学校再開後の心と生活に関する調査(6月12日実施)の結果について

COVID-19

1 調査の目的
 児童生徒の心理状況や生活実態について把握することを通じて、学校再開後の支援の在り方の施策に資する。

2 調査対象 市内小・中・特別支援学校の児童生徒

3 調査期日 令和2年6月12日(金)

4 調査方法 選択肢型質問紙による調査

5 回答数 割合(回答数/総数)
  小学生………………96%(1916/1996)
  中学生………………96%(924/959)  
           ※特別支援学校小学部、中学部の児童生徒も回答数に含む

6 調査結果の検討
 5月12日(火)~17日(日)に実施した「臨時休校中の児童・生徒の生活状況調査」の結果と本調査の結果を比較し、学校再開による児童・生徒の心と生活の変化について検討する。

(1)心の状態について 
①「ちょっとしたことでビクビクすることがありますか。」に対し、小学生、中学生共に「ない」が減少し、「あまりない」が増加している。「よくある」「ときどきある」も若干増加している。

②「ちょっとしたことでイライラすることがありますか。」に対し、小学生、中学生共に「よくある」「ときどきある」が減少している。小学生では「あまりない」「ない」が増加。中学生では「ない」が減少し「あまりない」が増加している。

③「不安になることがありますか。」に対し、小学生は「ない」が減少し、「よくある」「ときどきある」が増加。中学生は「ない」が減少し、「よくある」「ときどきある」「あまりない」が増加している。

④「腹痛や頭痛を感じることがありますか。」に対し、小学生、中学生共に「ない」が減少している。小2以上の学年では、「よくある」「ときどきある」が若干増加している。

⑤「今の気持ちの状態はどれくらいですか。」の「とてもよい」への回答が、小学生は増加し、中学生は減少している。「しんどい」「少ししんどい」に対する回答割合は、小学生に大きな変化はみられないが、中学生は増加している。

(2)生活について


①起床時刻について、小学生、中学生ともに、7:00までに起床する割合が顕著に増加している。

②就寝時刻について、小学生、中学生ともに、「21:00まで」の減少が顕著である。

③1日の遊びの時間(テレビ、DVD、ゲーム、インターネット等利用)について、小学生は、3時間以上の回答が減少している。中学生は「1時間以内」が減少し、「1~2時間」「2~3時間」が増加している。

⑤【中学生のみ】「運動不足を感じますか。」に対して、「感じる」が減少し、「感じない」が増加している。

⑥「困ったことがあったときに、相談できる人はいますか」に対し、小学生は「いる」が若干減少し、「いない」が若干増加している。中学生については、大きな変化はみられない。

7 考察
 調査結果から特徴別に集団を分けると、「小学1年生から小学3年生」、「小学4年生から小学6年生」、「中学生」の大きく3つの集団に分けることができた。それぞれの集団について特徴を考察する。
(1)小学1年生から小学3年生
【心の状態について】

 質問⑤より今の気持ちの状態について「とてもよい」への回答割合が増加している。質問②よりちょっとしたことでイライラする傾向も減少した。小学1年生から小学3年生には、学校再開を喜び、心理的に活発化した児童が多くいることが分かった。しかし、質問③より不安感についての質問では「ない」が減少し、「ときどきある」と「よくある」が増加している。質問⑤より腹痛や頭痛を感じる割合も若干増加している。
自由記述に「勉強についていけるか心配」や「宿題に時間がかかる」など、1年生にとっては、学校生活の慣れへの不安を感じている児童がいることがうかがえる。中には、「コロナが心配」「マスクをしていると暑い」などという記述もあり、感染拡大への不安や感染予防に関わる新しい生活様式への対応の大変さが感じられる。
【生活面について】
 質問①より学校再開により起床時刻が早くなった。質問②により就寝時刻について、8割以上の児童が22時までに寝ているが、臨時休業中に比べて若干遅くなっており、学年が上がるにつれて遅くなる傾向がある。質問③によりテレビ、ゲーム、インターネットなどのメディアに触れる時間は、3時間以上の割合が大きく減少した。質問④により食事については、2年生の「食べている」が1割減少し、「ときどき食べないことがある」が8%増加している。
【全体を通して】
 多くは学校再開を嬉しく思うとともに、学校生活に緊張感をもっている児童がいることがうかがえる。教職員は、授業や学級経営において児童が安心できる温かい雰囲気を醸成できるよう努めるとともに、個別の不安を丁寧に聞く機会をもつなどし、児童に安心感を持たせることが必要である。生活リズムについては、多くの児童が臨時休業中から規則正しい生活を保ち、学校再開後も起床時刻が早くなるなど、早寝早起きを意識した生活ができている。多くの保護者が規則正しい生活リズムの維持に努めているものと考えられる。

(2)小学4年生から6年生
【心の状態について】

 質問⑤より今の気持ちの状態については、臨時休校中と大きな差はみられなかった。質問③④不安感と頭痛、腹痛について、「ない」と明確に答える児童の割合が減少し、「よくある」と「ときどきある」が増加している。
 自由記述からは、学習や友だちとの人間関係への不安、再開後の委員会活動や児童会活動への心配や低学年の集団登下校時の心配などの記述が見られたが、高学年としての責任感の表れから感じる不安であり、本来なら年度初めの4月に感じるような期待の裏側にある不安な気持ちを記述している児童が目立った。その中でも「コロナが心配」という記述もいくつかみられ、例年以上に不安な気持ちを助長していると推察できる。

【生活面について】
 質問①により学校再開により起床時刻が早くなった。約4割の回答が7:00以降から7:00以前へと移行している。質問②により就寝時刻について、21時までが減少し、22時以降が増加した。6年生では、22時から23時の増加が目立つ。
【全体を通して】
 調査結果から、学校生活に対する責任感や義務感がうかがえた。学習や委員会活動などの仕事を「ちゃんとしたい」「きちんとしなければならない」という年度初め特有の気持ちを読み取ることができる。集団適応において、責任感や義務感は大切な要素であるが、同時に適切なフィードバックが必要になる。教職員には、学校生活における児童それぞれの活躍を認める声掛けをし、児童の自尊感情を高める工夫が求められる。また、授業や学級経営においては、児童相互の人間関係づくりが促進される対話的な活動を重視し、お互いに認め合える雰囲気が大切である。就寝時刻が遅くなる傾向については、調査結果を保護者に伝達し、規則正しい生活リズムの維持について啓発する必要がある。

(3)中学生
【心の状態について】

 質問③④より不安感、腹痛、頭痛について、「ない」と明確に答える割合が大きく減少した。質問⑤により今の気持ちの状態については、「とてもよい」が減少し、「少ししんどい」が増加している。
自由記述にも「疲労」「疲れ」「しんどい」という単語が散見される。
【生活面について】
 質問①により学校再開により約4割の中学生が起床時刻を早め、6割以上が就寝時刻を遅らせていることが分かった。質問②により就寝時刻では、2・3年生の「23時から0時」への回答割合の増加が目立つ。質問⑤により運動不足を感じる生徒は1割程度減少したが、依然として60%以上の生徒が「感じる」と答えている。学校再開による生活リズムの変化に対応している過程で、「しんどい」と感じる生徒が増加したものと考えられる。
 自由記述では、「勉強」や「受験」と「部活」に関する記述が多かった。学習については、「勉強についていけるか」や「今後の進路」など見通しが持てないことへの不安を読み取ることができる。また、部活動については、活動時間や活動場所が制限されていることから、今まで通りの活動を望んでいる気持ちが大きいと感じられる。

【全体を通して】
 調査結果から、学習面への不安を感じる生徒が多くいることが分かった。教職員は、まず、生徒の不安な気持ちに寄り添い、生徒どうしが生活や学習の悩みを話し合う機会をもつなどして、不安な気持ちを共有することから、友だちという大事な存在と「共に在る」感覚を満たし、心の充足を感じさせていくことが大切である。そして、今後の進路や授業や学校生活の見通しを示し、生徒と今後の生活や学習の目標を共有しながら進めることとで協働して再開後の学校生活をみんなで乗り切ろうという風土を高めていくとよい。そのうえで、個別の学習面の不安に対して丁寧に対応することが求められる。また、学習や生活を記録するノートを持たせるなどして、各自の学びの蓄積や達成度を可視化する等の工夫をし、生徒の生活する意欲や学ぶ意欲を醸成していくことが大切である。

8 総括
 全体的には、学校が再開されて、生活面については、規則正しい生活が送れている。心理的な面については、緊張感をもって学校生活に取り組んでいる子どもが多い中で、「勉強についていけるか」や「学校行事がどうなるのか」、「受験等今後の進路への見通しのつかなさ」などの不安感を感じている子どもが目立った。学校休業中も再開後も不安な気持ちを持っている状況は変わりないが、友だちや学校とのつながりを持つことで、学校生活のスタートの新たな期待の中で不安を感じる子どもがいることが自由記述から読み取れた。
 保護者や教職員は、休業期間をマイナスや遅れとして捉えるのではなく、ゼロからのスタートとして捉えて、子どもたちに接する必要がある。
 体力面については、依然として運動不足を感じている中学生が多かった。体力面から「疲れ」「しんどさ」を感じている子どもたちも少なくないと捉えている。感染予防の観点からも体力をつけることも必要である。
 今後も、保護者や教職員には、家庭や学校においては、規則正しい生活に心がけながら、一人一人の子どもの思いに傾聴の姿勢で精神的な安定を優先して学校再開後の生活を見守っていただきたい。その中で、特に気になる子どもたちに対しては、定期的な聞き取りを行い、個別に対応する。必要に応じて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等と連携して組織的に対応していく必要がある。
 教育委員会は、特に、今回の調査で学力や進路について不安を抱えている小学6年生や中学3年生、新しい環境の中で学校生活を始めている小学1年生や中学1年生など、比較的、不安感など精神的な心配が多かった学年には、学習指導員や新学習システムの配置や増員により、学習活動を支援していく。そして、少人数授業の充実により、きめ細かな対応を行っていく。また、スクール・サポート・スタッフの追加配置により、学校再開後の感染予防業務等のサポートを依頼し、教職員が子ども一人一人の学習状況や心のケアなどのきめ細かな対応ができるように支援していく。教育研究所として今後も継続して、子もたちの状況を把握していく。

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